第6話)パーマの技術は皆無に等しい。

アメリカもヨーロッパ諸国も、もちろんオーストラリアもパーマの技術は発展していない。日本のような柔らかい「ゆるかわ」パーマなどは、西側諸国には無いと言ってもいい。ましてや男性がパーマをかけるなんて、普通はビックリされる(笑)

 

パーマのロッドは、細いロッドしかなく、ビッグロッド、ロングロッドや円すいロッドなどは日本特有のものである。オシャレな今風のサロンにはパーマのロッドすら無いなんてことも珍しくない。

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アメリカもオーストラリアも、このようなゴムとロッドが一体式。

実際に僕が働いていたオーストラリア人のサロンは、高級店でモデルクラブと提携していたのもあって、若いオシャレな女の子が多かった。しかしパーマをかけている姿は4年のうち一度も無い。

 

年 間で二人くらい、パーマをかけるお客さんがいた。どちらも白髪頭のおばあちゃんだった。パーマを巻くことができるのも40歳を超える美容師さんしか巻けな い。もう、こちらでパーマというイメージは、おばあちゃんがかけるもの、もしくはソバージュのようなクルクル、クリクリのパーマである。

 

オーストラリア人の彼氏を持つ日本人女性の話だと「今日はパーマをかけてくるの」と彼に言うと「それだけはやめてくれ!」となるらしい(笑)そりゃ日本のパーマのイメージとは程遠いからである。

 

それでは、どうしてパーマの技術が進歩しないか理由を説明しましょう!


まず西洋人の髪は、最初からウェーブ、カーリーなので、逆に真っ直ぐな髪に憧れている、よってパーマは必要ない。よく映画やドラマでみる外人さんのウェーブは天然、またはコテ(アイロン)で巻いている巻き髪なのである。

 

も う一つは髪質の違いである。西洋人の髪はキューティクルの側が厚く薬液が浸透しにくい、そして毛の断面図が楕円形なので、薬液が均一に中心部まで入ってい かないなどの理由がある。あとは髪の毛の形を司る毛の中心部の組織がアジア人と比べると十分には無い、なのでかなり強い薬液を使用し、細いロッドで巻かな いとキッチリパーマがかからないのである。

 

自 分も経験があるのだが「日本人のようなフワフワパーマをかけて欲しい!」というオージーの女の子に日本のロッドと日本のパーマ液を使用して施術をしたこと があったが、結果はかかりが弱い。数日後に再来店してもらい、もう一度かけなおしたが、それでも僕のイメージどおりの仕上がりにはならなかった。

 

そ れから毛髪科学のテキストから調べなおして、その失敗の理由がわかったのだが、と同時に西洋の国でパーマが流行らない理由もわかった。日本のような太い ロッドを使用して、刺激の弱いパーマ液を使用しても、細くて強い頑丈な西洋人の髪には十分な力は備わっていないのであった。

 

日本のパーマの技術は世界で一番。消費率もNo1でしょう。そうなれば自動的にメーカーも新製品の開発にお金をかけ、あらゆるメーカーから色々なアイデアで新しいパーマ液が発売され、新しい形のロッドなども出てくる。

 

間 違っても、海外でパーマをかけてはいけない。見た目はアジア人の方がパーマがかかりづらく見えてしまうので、最強のパーマ液を使用し、細いロッドを選択し (太いのが無い)、パーマのイメージがクリクリなものと思っている美容師さんにかけてもらえば、結果は想像できるであろう。

 

も う4年以上前だが、一時だけ一緒に働いていた日本人美容師さんは、「日本のパーマ液と同じですよ~」とお客さんに説明していたが、見たことも無いメーカー の英語で書かれていたパーマ液だった(笑) 内部告発でしたが、ある日本人経営の美容室さんも、仕入れが安いという理由で西洋人用のパーマ液を使用してい たとか。

 

たしかにパーマ液はパーマ液だが、内容成分も使用用途も全く違うので結果はやはり全然違ったものになる。きちんと勉強している「日本人美容師」さんにやってもらいたいものだ。

第7話) 年末年始の美容室

丁度、時期が重なったので、今年の最後のネタは年末年始の日本とオーストラリアの違いについてお話しましょう。

日本のサロンですと、年末は書き入れ時で大晦日まで営業しているサロンもまだあるかと思います。今だからこそ大晦日からお正月三が日はお休みのサロンも多いのですが、昔は違ったようです。

僕の父は理容師、母親は美容師ですが、両親の修行時代は、元旦の朝方まで仕事をし、初詣に行くお客様の髪を結ったりと、一年の中で一番忙しいのが年末年始 と聞かされていました。年を越す前に、銭湯へ行って一年の垢を落とし、新しい下着をおろし、髪もキレイに刈り込んで、お正月の三が日は髪型もきちんと保て るようにセットしてもらう。それが昭和30年代だったそうです。

僕が見習いだった頃は、クリスマスイブの夜は客足も途絶えて夜の7時くらいから掃除をする事ができました。31日も午後になればお客さんもポツポツと御来 店する程度でしたので、大掃除をしながら営業をしていました。そして給料と、ボーナスの5千円をもらって、先輩も後輩も実家に帰り3日の夜には、寮に戻っ てきて、4日からは通常営業という感じでした。

ところが、オーストラリアは違います!全然違います(笑)おそらくヨーロッパやアメリカなども同じなのでしょう。

12月24日のイブはお昼で終わり、簡単な掃除(いつもよりは丁寧)をしてから、スタッフとちょっとしたプレゼントを交換し、帰り際にはハグをして全員と 抱き合い、頬にキスをし合い、みんなは実家へ帰ります。クリスマスは家族で過ごすイベントなので、日本のような恋人と過ごすロマンティックなクリスマスと は違います。日本で言うお正月的な感覚なのでしょう。街は静まり返ります。

美容室に限らず、おおくの会社勤めの人も、この12月25日から4週間の有給休暇を取る人が多いです。ちょっと控えめに2週間の有給休暇を消費する人も最 近は多いみたいですが、12月25日から1月10日くらいまでは、殆どの人が休みにはいります。大手のチェーン店や、金融機関や技術系のエンジニアくらい でしょうか、1月2日から仕事に戻るのは。。。

サロンのオーナーも、スタッフがこの時期に有給休暇を取るのも分かってますし、最初から2週間~3週間は休業するところも多いです。なので一年間のうち、11ヶ月の間に一年分の売り上げを上げるように設定しないと経営者は有給休暇で潰れてしまいます。

僕が4年近く働いていたオージーのサロンは、オーナーが働き者だったので、サロンを2週間休みにするようなことはありませんでしたが、12月25日から1 月1日まで休みで、普通に1月2日から営業してました。場所が街のど真ん中に位置していたので、2日から働いている人を相手だったのでしょう。

しかし、日本人の僕にしてみれば、お正月三が日に働くというのは馴染めないので、ボスにお願いをして、12月28日29日30日は1人で働くから、その代わり1月2日3日は休みにして欲しいとお正月は毎年休みをもらっていました。

もうオーストラリアで年越しは7回目を迎えますが、未だに馴染めません。真夏のクリスマス、クリスマス商戦なんていうのもあるのかないのか、いつも通りに 時間はゆっくりと流れていきます。こっちでは「師が走る」なんて忙しさはありません。クリスマスプレゼントと称して小さなチョコレートなどを自分と関わる 全ての人に差し上げるという習慣は心が温まります。

日本のお正月の雰囲気はなんとも言えない独特なものがあると思います。年が終わるという慌し感、大晦日の除夜の鐘、みんなが「良いお年をお迎え下さい」と 声をかけあう。新年を迎え家族の健康と無事を願い初詣にでかける。世界中どこを探しても、日本のような味わい深い年末年始は無いのではないか。そろそろお 正月が恋しくなってきた。

今年も一年ありがとうございました。

2010年も、皆様にとって良い年でありますように。